島キャン実施レポート

隠岐ってどんな島?

2023年夏 隠岐の島町
隠岐の島 一般社団法人隠岐ジオパークツアーデスク海洋スポーツセンター
8/15~8/27
京都美術工芸大学/芸術学部デザイン専攻  山辺 朱莉
のびのび暮らすのが隠岐の島流!
島の「しごと」って…
事務所の前に広がるコバルトブルー!毎日この景色が見れるなんて最高!

ある日バイト先の先輩からふと聞いた「島キャン」のお話。

2週間泊まり込みで?島で仕事ができて?休みの日には島の人と交流して?

おいおいなんて楽しそうなんだ!と思ったのが始まりで、ついに待ちに待ったその日がやってきた。

私がこの夏お世話になったのは島根県・隠岐の島の皆さん。島キャンでは唯一の日本海の島でした。島に向かうフェリーの中、最初は期待3割、不安7割でした。島暮らしってどんな感じだろう。ちゃんと自分に仕事が務まるだろうか。いろんな思いを抱きながら島に到着。台風の影響で島に無事たどり着けるかどうかもかなりドキドキでした笑。ようやくたどり着いた事務所の皆さんはすごく親切で優しくて、来る前の不安もきれいさっぱりなくなりました。ここなら絶対に楽しめる、そんな直感が私の中にありました。

海の近くで働きたい!と考えていた私の期待通り、事務所の目の前に広がるのは深いブルーの美しい日本海!

朝の9時から就業がはじまり、まずは事務所の清掃、備品の取り扱い方や訪れたお客さんへのレンタルカヤックのレクチャーなど基本的な業務を行います。自分のあまりの体力の無さに絶望しつつも、新鮮な体験や美しい風景、事務所の生活の楽しさで、何度も復活しながら日々業務にあたっていました。とにかく毎日楽しくて「はたらく」「仕事」ってこんなに楽しんでいいのかと、ちょっぴり複雑な気持ちになりながらも2週間の隠岐での生活はあっという間に過ぎて行きました。

私がこれまで本島で暮らしてきた生活、常識のようなものが島で暮らす間に変化していったような気がします。ありていに言えば視野が広がったように感じました。

「しごと」とは何なのか。これについてよく考えたインターン生活でした。今では、世の中には自分が思うよりたくさんの「しごと」があるんだと感じます。これまでは大学を卒業した後は就職をするのがセオリーだと、疑うこともなく生活をしていましたが、島ではたらく皆さんは自分が楽しめることに打ち込みそれを「しごと」にしている印象がありました。

「しごと」って楽しむものなんだ。楽しんでいいものなんだと、島での生活を経て教わることができました。都会で暮らす中で気づくことができなかったものを、私は隠岐で学ぶことができました。

大切にしたい場所に出会えた最後の夏休み
島の海岸に流れ着いたごみがそのままになっている場所も。海外からのごみもありました。

「なんで隠岐?」

島キャンレポートで読んでいた質問、やっぱりいろんな人から聞かれました。笑

海が近くて自然豊かな場所で働いてみたくて隠岐を選んだのですが、なんと想像以上の環境でした。海は透明度が高く、日本海ならではの深いブルーが美しく、山林や植物の自然も豊かで、世界ジオパークに登録されるのもうなずける最高にワイルドな島だったのです!

島での就業の中で、島ならではの問題なども教えていただくことができました。就業先ではツアー業務だけでなくジオパークの管理なども行っているそうで、島全体の規模に対し人員が圧倒的に不足しているとのことでした。島の人口は約1万3千人で、その中でも働き手の人口は本島に比べ割合が低いようです。

島には管理が行き届かず放置されてしまっている森や竹林、海岸なども多く残っています。島外から応援を呼ぶにも費用や時間が多くかかってしまうためコストが悪く、やはり根本的な解決にはなりません。

こういった離島ならではの問題を解決するにはどうしたらよいのか考えながら過ごすインターン期間でした。

島民を増やすためにももっと隠岐の知名度を上げなければなりません!私自身もそうでしたが、隠岐のことを知らないという人はまだまだたくさんいます。知名度を上げることで隠岐や島で暮らす魅力を知ってもらうことが問題解決の近道になるんじゃないかと考えました。

幸い現代はSNSが世界中に普及しています。SNSを利用した魅力発信なら私でも少しは力になれるような気がしますし、島を離れているいまでもできることがあると思います。島キャンを通して隠岐の魅力を発信するお手伝いが私にも出来たらうれしいです。10年20年さきの島の未来を良いものにできるように、長い目を持って頑張ることが大切なように思います。

事務所の方が手配してくださった宿はなんと一軒家で、そのお家の大家さんが島にいる間とてもよくしてくださいました。普段は親戚の集まりや島留学に来た高校生などが泊まれるように空き家を貸し出しているそうで、大家さんのサポートのおかげで何不自由なく生活することができました。

島に来た日には隠岐でとれたサザエでもてなしてくださったり、日々差し入れをいただいたり、「何か不自由なことはないか?」といつも気遣ってくださったり、お別れの時にはご馳走を用意してくださったり、たった2週間の間に本当にお世話になりました。島外から来た私にもやさしくて、とてもあったかくて、第3の故郷だと思っていつでもおいで、と見送ってくださいました。

就業先の皆さんや大家さんとの別れが本当にさみしくて、隠岐で過ごすうちに本当に実家のような安心感と居心地の良さを感じていました。それも島の皆さんが温かく受け入れてくださったおかげで、のびのびと島ライフを送ることができました。

またこの島に戻って来よう、そう思えた2週間でした。

島ってやっぱり素晴らしい!
事務所の方たちとの思い出。またいつか帰ってきます!

最初は島暮らしへの興味本位で参加した島キャンでしたが、今ではまんまと島暮らしの虜になってしまいました。笑

都会で人ごみにもまれてストレスのたまる生活をするよりも、島でのんびり自然を楽しみながら暮らす方が向いてるんじゃないだろうか…。

ただ修学旅行とかもそうだと思うんですが、自分次第でどこにでも行けてしまうと気付くための経験は今後の人生を左右するように感じます。インターンを通して私は隠岐の島に自分の足で行けるということを知れました。何かをきっかけにして行動範囲や自分の世界が広がる経験は、自分の視野や思考を柔軟に広げてくれる素晴らしいものだと思います。

さて、思っていたよりも島暮らしが身近にあると知ることができたので、私は未来の島暮らしライフに向けて今の生活を頑張っていきたいと思います!

一生忘れられない2週間をありがとう、隠岐の島!

島には移住者の方が経営するおしゃれなカフェもたくさんありました。若い方にもぜひ一度訪れてほしいですね。
就業の空き時間にカヤック釣りを体験しました。日本海は海鮮が最高!おいしくいただきました。
火山岩でできた隠岐ならではの奇岩!島には雄大な自然がごろごろ転がっています。