島キャン実施レポート

魅力に満ちた島で見た理想的な働き方、暮らし方

2017年夏 徳之島
伊仙町役場
2017年8月2日~8月15日
国際基督教大学/教養学部  中島 栄子
日本が目指す働き方、暮らし方の改革の先を行く最先端の町ー徳之島・伊仙町ー
島で見た最先端の働き方
通勤路の景色 爽やかな気持ちになれました

 昨今“ライフ・ワーク・バランス”という言葉が取りざたされるようになっていますが、正直なところ、ライフ・ワーク・バランスを達成した働き方を実現することは未だ難しいと考えていました。むしろ女子大生として、仕事と子育てなどのライフイベントの両立に不安を抱いていました。
 しかし私のお世話になった伊仙町役場の職員の方々は、見事に最先端の働き方を実現していました。残業を強制する雰囲気は全くなく、そしてもちろん、フルタイムで働く、小さな子供のいる女性もいました。
 島の子が東京で働く弁護士に対して、「夕食にお父さんがいないなんて信じられない」と言ったというエピソードは大変印象的です。
 もちろん人がどのような働き方を望むかは十人十色だと思いますが、幅広く見渡せば、自分に合った働き方を選択する機会があるということを、最先端の働き方を実践する島の方々を見て、実感させられました。

島で見た地域の理想像
徳之島名物 闘牛の散歩

 島の方々は親切だと事前に聞いていたのですが、予想していた以上の温かさで大変感動しました。人と人との垣根が大変低く、島外から来た見ず知らずの人間までも包み込む温かさがあるのが島の特長だと感じました。
私が島に滞在したのは、2週間でしたが島の人々の温かさに接する機会がたくさんありました。私が道に迷って道を尋ねた際は、丁寧に道を教えてくださったばかりかまた畑の野菜をあげるから取りにおいでとまでおっしゃってくださいました。実際、島に滞在中はいろいろな方から沢山の差し入れをいただき食材には事欠きませんでした。
 そのような強く温かい地域のつながりは、住民間の支え合いという形で高い出生率や長寿を支えているのではないかと感じます。実際、各集落で開かれている介護予防サロンも地域交流の場となっていて、子どもたちも地域で育まれていることを感じることができ、集落全体がコミュニティーとして機能していました。
 都会にはない生活の豊かさの根源はここにあるのではないかと感じるとともに、今全国で取り組まれている地域づくりの最先端の姿を見た気がしました。

地方創生とは何か
海と緑がとにかくきれいでした

 実際に訪れるまで、徳之島、伊仙町については全く何も知りませんでした。しかし島を周り、地元の方々から島についてのお話を聞いて、わずか2週間の間で、温かい人々、固有種にも恵まれた豊かな自然、琉球とも本土とも異なる独特の歴史、文化、また高い出生率や長寿など充実したライフスタイルなど、数多くの島の特長に大きく魅了されました。
そこで気づいたことは、“創生”などという言葉は大変おこがましく、すでに形成された地域のアイデンティティを“守る”ことで、地元の住民にとって快適な住環境を整えていくことが、魅力的なまちづくりにつながるということです。
また、地方創生の取り組みは、システムだけを整えることで前進するものでは決してなく、「この町を良くしたい」という地元の人々の創意工夫によって成り立つものであるということも、実際に伊仙町役場で働いて体感しました。
徳之島の魅力と、人々の熱意に触れ、日本の地方が持つ可能性の豊かさを実感し、それらを守り活かしていくことの面白さを知ることができました。島キャン生として徳之島の魅力を自分で発信することで、その魅力を守るお手伝いを少しでもできることは光栄です。