島キャン実施レポート

島に愛される人間になるには?

2017年夏 沖永良部島
おきのえらぶ島観光協会
2017年8月30日~9月12日
東京工業大学工学部  Mihi
沖永良部島で知った、人との関わり方と仕事の在り方の話
一番最初の仕事が「名刺配り」?
名刺に使うだけには惜しい写真ばかりです

島に上陸した初日から、島の方とお会いする機会が多くあり、「名刺」を多くの方から戴きました。恥ずかしながらインターンシップなのに名刺を作り忘れた私は、その日島で撮った写真を使って名刺を作り、島の印刷屋の方に40枚印刷して頂きました。
後日観光協会の事務局長である古村さんから「40枚では足りない」と言われました。今や島の観光を一手に引っ張る古村さんは、日本中で同じようにしてまちづくりや観光を牽引する方と関わりを持っていらっしゃる方で、名刺やFacebookでの交流を大事にされていました。言い方を変えると「働く上で出会いを大事にされている」ということでしょうか。将来少なからずまちづくりの現場に関わるであろう私には、とても新鮮で驚きでした。
後日「40枚で余るか足りなくなるかは自分次第」と古村さんに言われ、必死に名刺を配りました。しかし、後でものすごく恥ずかしくなりました。詳しい理由は後述しますが、名刺を配って名前を覚えてもらうと、「自分の働き様を見る人が増える」ということを痛いほど感じました。

エラブのこと、日本の地方のこと
名刺に使うだけには惜しい写真ばかりです

「地方には職がない」よく言われる言葉です。仕事自体は存在しますが、「やりたいことができない」、要するに職の多様性がないということです。
でも、エラブはちょっと違いました。エラブのお母様方は、基本的にお子さんを一度島外の学校に送ります。そうでないと、考え方や価値観が凝り固まってしまうから。島外の学校に入学したエラブ生まれの学生は、色々な場所で色々なことを学び、Uターンする方はそこで得たことをエラブに持ち帰り、自分の生業とするのだそうです。証拠として、こだわりのある飲食店が多いエラブの特徴があります。
島を「都会に搾取されるだけの場所」ではなく「小さな社会」と捉えると、まだまだ伸びしろのあるこの島では、開業すれば無限に職があると言えましょう。エラブ滞在中に島の自足のためのシンポジウムが開催され、私も参加したのですが、「島内で経済を回すためのローカルファンディング」が討議のひとつのテーマでした。地方の社会がそれぞれ自立すれば、「地方には職がない」は言い訳でしかなくなるのかな、と思いました。
島で出会ったとある方がこんなことを仰っていました。「人に惚れ、場所に惚れ、仕事に惚れる」……住む場所と職の両方の選択が自由であることを、この島で教わりました。

エラブという「鏡」に映った自分の姿
同じ島の島キャン同期達にもお世話になりました。ありがとう。

島キャンに参加した動機は色々あります。島について興味があったこと、日本の地方の現状を見たかったこと、UターンやIターンをした人の考え方を知りたかったこと……ですから、島に関する知識は増えました。その知識を使いながら島の方と積極的にコミュニケーションを取ろうとしましたが、自分でも気が付かないうちに強すぎるコミュニケーションになっていました。他にも、自由な職場の雰囲気に流されたこともあり、それらがもとで、観光協会の事務局の方々をはじめとする島の皆さんの信頼を失うことになりました。
「周りの人は自分を映す鏡である」観光協会の方々に最後に言われた言葉です。とりわけ、一人ひとりの距離感が短い島の社会では、尚更それが際立ったと思います。コミュニケーションが苦手で出不精な私は、東京では自分の姿を直視する機会をあまり得ていませんでした。自分の姿を直視し、直していくために、言葉や考えだけでなく行動することが大事であることも、古村さんから教わりました。

私の島キャンは、楽しいばかりではありませんでした。結果的にエラブに対して、強い愛着を持つことが出来なかったことは悔しく思っています。大きなことを言うようですが、残された大学生活でもっと自分と向き合う機会を作り、相手を考えたコミュニケーションやブレない自己管理ができるようになって、社会に出るまでにはエラブの皆さんに姿を見せても恥ずかしくない人間になり、そのあかつきにはもう一度エラブに行きたいと思っています。

同じ島の島キャン同期達にもお世話になりました。ありがとう。
島で戴いたご飯、どれも美味しかったです。
島で戴いたご飯、どれも美味しかったです。