島キャン実施レポート

いも~れ奄美

2022年夏 奄美大島
マングローブ公社
8/15~8/29
亜細亜大学  田辺和馬
仕事も自然も学べた2週間
自分の強みと弱みを見つける
一日の最後には船着場のカヌーを全て引き上げます。力仕事が多いです💪

 

 今回私が就業体験としてお世話になった事業所は、マングローブ公社が運営している、黒潮の森マングローブパークです。このパークはグラウンドゴルフやレストランなどのいくつかのサービスが複合している道の駅になっています。その中に主に私が就業体験でお世話になった、マングローブカヌー体験ツアーのサービスがあります。業務内容としては、お客様がカヌーを乗り降りする際の補助や、カヌーの手入れ、体験中のお客様を誘導するための声掛けや、カヌーを直接引っ張ったり押したりして誘導することなどです。終盤にはカヌーの漕ぎ方の説明やマングローブについての説明などのガイドを一部させてもらいました。

 私は今回、「自分にはどのような役割が向いているのか、強みや弱みはどのようなところか」というのが、2週間の就業体験を行っていく上で見つけたかったことでした。2週間のうちにそれがかなり具体的に見つけられたと思います。何人かのスタッフさんに自分の業務中の動きについて意見を貰うことがありました。それはスタッフの行動を観察して、指示を出さずとも動けるようになるまでの早さや、目立ちにくく、小さなことだがスタッフを補助できる行動ができる点などを評価してもらいました。例えば、ツアー中には列が混みやすいところがあります。そこで混雑しているところを見つけ、スタッフの指示よりも先に動いて、1人でもお客様の誘導ができたことです。またツアー後にスタッフは、カヌーやライフジャケット、オールの片づけ、貸出サンダルの清掃などの多くの作業を分担します。私はそれぞれのスタッフさんの動きを見てから、人数が足りない作業を手伝ったり、誰も手を付けていない作業に手を付けたりする行動を素早くできました。このように自分の評価される能力とは、周囲の観察能力や、自分自身で臨機応変に立ち回りができる点であるということを見つけられました。反対に課題として見つけられたのは、身の周りの物の整理や、順序良く物事を進めることが苦手であるという点です。パーク内の清掃をする際に、一時中断して他の作業をすることがあり、そこから清掃に戻る際に清掃道具を置いた場所を忘れてしまうことがありました。またツアー中のお客様の誘導先を、本来とは異なった場所へと誘導しそうになったところを、スタッフさんに止められることもありました。身近な物の管理や、自分の行動の確認が不足しているところが弱みであるということを見つけられました。

 奄美大島でのマングローブカヌー体験ツアーの仕事は、都会の仕事とは環境も業務内容もかけ離れているように見えました。しかし、就業体験で見つけられた自分の強みと弱みは、今後どのような職業についても、自分が成長できる材料であると思います。

 

世界遺産を学ぶ
奄美大島の固有種である「アマミノクロウサギ」ナイトツアーで遭遇できました。

 

 奄美大島は徳之島、沖縄本島北部、そして西表島とともに2021年に世界自然遺産に登録されました。私が今回奄美大島でインターンをしようと思ったきっかけは「自分の強みと弱みを見つける」ということの他に、もう一つあります。それは「世界自然遺産である奄美大島の自然に触れる」ということです。なぜ奄美大島の自然が、世界的に見ても保存されるべきものなのかを実際に現地で知りたいと思い、奄美大島を選びました。

 マングローブカヌーツアーの就業中にも多くの自然を直接感じることができました。マングローブとは海水と淡水が混ざっている汽水域にある植物群の総称であり、世界的にも珍しい森林であることをスタッフさんから教えてもらいました。そこには淡水や陸に生息する生き物、海に生息する生き物など多くの生き物を自分の目で見て、時には触ることもでき、多様で特徴的な生態系を形成していることを学ぶことができました。

 またお休みを貰った日には、山奥の森でトレッキングツアーをしたり、ナイトツアーをしたりしました。陸の森林には、マングローブとは別の自然が形成されていました。そこには奄美大島や沖縄地方付近でしか見られない植物や、動物まで様々な生き物を観察することができ、奄美大島の陸地の生態系にもふれることができました。

 奄美大島に固有種が多い理由は島のでき方にあるということをマングローブ公社のスタッフさんや、別のツアーのガイドさんから学びました。奄美大島は以前、ユーラシア大陸と繋がっていて、地殻変動で分裂して形成されたそうです。分裂後、奄美大島に生息する生き物は、ユーラシア大陸の生き物とは別の進化をしたり、ユーラシア大陸では絶滅してしまった生き物が奄美大島では生き延び続けているなどして、固有種が形成されていったそうです。そのため、奄美大島には特徴的な生態系があり、珍しい生き物が生息しているそうです。

 奄美大島が世界自然遺産に登録された理由を、現地の自然に実際に触れたり、現地を知る人の説明を聞いたりして深く学べることができました。「世界自然遺産である奄美大島の自然に存分に触れる」というもう一つの目的も達成することができました。

とにかく貴重な2週間!
休み時間中に捕まえることができたリュウキュウアオヘビ

 

 2週間という長めの旅行よりも長い期間を、奄美大島ならではの仕事をしながら生活をするというのは、とても貴重な体験だったと思います。初めは2週間も今の生活と離れることや、就業先の環境が自分と合う環境なのかどうかなど、不安な要素も多くありました。実際、初めの方は大変でした。亜熱帯の高温多湿の中で乗ったことのないカヌーに乗ってのツアーのお仕事は、初体験だらけでした。大変ではないわけがないです。しかしそれも慣れてしまえばできることが増え、やりたいことも増えてきてとても楽しいと思える毎日でした。マングローブパークのスタッフさんたちも積極的に話しかけてくださったり、仕事のことも丁寧に教えてくださったりました。一日の仕事が終わった後や休み時間には、SUPで遊んだり、釣りをしたり、ご飯をごちそうになったりと、とても楽しませてもらいました。仕事に対して真剣に、積極的に、頑張ろうという姿勢を示していれば、スタッフさんたちも優しく接してくださるのだなと思いました。奄美大島の人と、奄美大島ならではの仕事を2週間も体験できたというのは、自分の人生の中でもとても貴重なものになったと思います。

 また生き物が好きな自分にとって、奄美大島での毎日は興奮してばかりでした。2週間も滞在していると、見れたり、捕れたりする生き物の量はとても多かったです。マングローブの中での仕事なので、仕事中にも発見だらけでした。特に盛り上がったのはリュウキュウアオヘビという奄美、沖縄地方にしかいないヘビを休み時間中に捕まえることができたことや、休みの日に海へ行った際に、ウミガメに遭えたことです。私は昨年沖縄のやんばるへ2泊3日の旅行に行きましたが、今回の2週間の奄美大島で見れた生き物は、その時とは比べ物にならな程の種類と数を見ることができました。生き物と触れ合う点においても、この2週間はとても貴重なものになりました。

 この2週間は毎日貴重な体験だらけでした。いつかまた奄美大島に行って、マングローブパークのスタッフさんに挨拶に行ったり、インターンを思い出したり、家族や友人を連れて奄美大島を案内したいと思います。

 以上、田辺和馬の奄美大島マングローブ公社への就業体験レポートでした。ありがとうございました!

仕事後の貸し切りマングローブSUP!
峠の上からの奄美大島の景色!
ウミガメ!