島キャン実施レポート

「絶対、与論に帰ってきます」

2019年夏 与論島
Sea Spunky
8/1〜8/14
立命館大学文学部  ゆい
鹿児島最南端の楽園
繋がりで作る観光
このSpunky号の上から接客をしていました。百合が浜の絶景を見ながら働けるなんて…幸せでした!

 私の就業先であったSea Spunkyは、簡単に言うと百合が浜で飲み物と軽食を販売する仕事です。毎朝天気予報やゆんぬんちゅ(与論の方言で"与論人"という意味)同士の情報交換で、その日に営業するかが決まり、営業するとなったら補充用の飲食物を船に積んで百合が浜まで向かいます。なんとなく分かるとは思いますが、百合が浜はいつでも出現しているわけではなく、日時や出現時間はまちまちで、天気によっても大きく左右されます。今日は営業できるのか…と、毎日オーナーからの連絡をハラハラしながら待っていました。

 百合が浜の仕事はまさに「自然を相手にした職」であり、そのような職につく与論の方々は強い繋がりをもって自然と共に生きていました。先ほども言いましたが、船を出すか迷う天気や状況の時は、同じく百合が浜まで船を出している仲間の元へ情報収集しに行きます。「◯◯は船だしてるらしいから今日はいけるぞ」「明日から天気荒れるから海に出たら危ない」「Sea Spunkyいないとつまんないから船出せよ笑」などなど…。船の修理などもみんなで協力してやるそうです。私はてっきり同業者はライバルで仲が悪いものだと勝手に思っていましたが、全くそんなことはなく、それはきっと”俺の船のお客さん”ではなく”百合が浜のお客さん”という意識がみんなの中に自然とあるからだと思います。また、そのようなゆんぬんちゅ同士の繋がりの中に観光客を巻き込んでいくのが百合が浜スタイルです。お互いの船のお客さんの写真を撮ってあげながら与論に関するアドバイスを話したり、Sea Spunkyの周りにいた初対面の何人かで話が弾んだり。

 自分と同じくらい島のことも考える、観光客も島の一員として巻き込んでいく、そうやって人と人との繋がりの中で作り上げていく観光が与論の観光だと感じました。

与論愛
就業期間中にオーナーが誕生日を迎えました!最終的に人数がこの倍くらいになってノンストップ与論献奉が始まります笑

 島の飲み会に参加するとほぼ確実に言われるのが「与論に来てくれてありがとう」です。島キャンで与論を選んで来ましたと言うと「与論を選んでくれてありがとう」とお礼を言われたり、与論Tシャツを着た人を街中で多く見かけたり、与論について1質問すると10で答えが返ってきたり、「与論の海が世界一」と曇りなく紹介してくれる…それが与論の地元愛です。一部の人だけでなく、私が出会った人ほぼ全員がこのような感じです。住んでいる人たちがこんなにも島に自信と誇りを持っているのだから、訪れた人が惹かれるのは当然でしょう。

 1番”与論愛”を感じたのは、島の一年で1番大きなお祭り「サンゴ祭り」に合わせてたくさんの人が島に帰って来たことです。進学や就職などで島から出た人たちが祭りに合わせて帰ってくるそうで、大学生らしき若者の「久しぶり!」と言う声がちらほら聞こえてきました。与論に行くには時間もお金もかかるので簡単に帰省なんてできないし、突然都会に暮らし始めたらそりゃあ楽しくなるでしょう。しかし、島1番のイベントにはちゃんとみんな集合して故郷で過ごすという、一種の与論愛が若者に浸透していることに美しさを感じました。

 余談ですが、与論の伝統である与論献奉を「危険だ」「よくない伝統だ」と言う大人が何人かいました。そんな彼らも結局は有泉と盃を用意して自ら回し始めるのだから、与論献奉大好きなんでしょうね(笑)。与論に生まれたからには献奉をやらずにはいられないんだそうです。

まあ私も、与論献奉大好きなんですけどね(笑)

絶対、与論に帰ってきます
第1ターム送別会&第2ターム歓迎会ですが、台風の影響で両ターム全員揃っていません…この後二次会のカラオケでみんな潰れます笑

 言うまでもありませんが、私は与論の人間じゃありません。与論で暮らした20日間(台風の関係で勝手に期間延長していました)で本当にたくさんの人と出会い、ほぼ毎日飲み会で大騒ぎして、サンゴ祭りで歌わせてもらって、シュノーケリングや釣りにも連れていってもらって…私のことを考えて怒ってくれた人もいました。そうやって毎日を過ごし、島への憧れが募るたび、自分はどう頑張っても本物のゆんぬんちゅにはなれないんだと強く意識してしまい、一人で寂しい気持ちになっていました。

 そんな気持ちで過ごしていた就業期間終盤、百合が浜での営業中、やって来た船に乗っていたボス(的な存在の方)から「シャコ貝食うか?」と声をかけられました。「食べます!ついでに言うと自分で捌いてみたいです!」と返すと、ボスはさっき自分で獲って来たらしいシャコ貝をその場で捌いてご馳走してくれて、「後でやってみな」とお土産に二個持たせてくれました。Sea Spunkyの船に戻る途中、オーナーに言われた言葉に今までの自分が報われた気がしました。「ああやって差し入れくれるっとことは、お前が頑張ってるのちゃんと見てくれてるってことだよ」と。本物になれないなら少しでも溶け込めたらいいなと、誘われた飲み会に片っ端から顔を出したり昔からSea Spunkyにいたかのような雰囲気で接客をしたりと、別にそれらを”頑張って”やっていたわけではありませんが、寂しさを埋めるようにやっていたそれらを島の人間である人に認められたような、「お前はもうゆんぬんちゅだよ」と言われた気がして。

 私はどう頑張っても島の人間にはなれません。私が次に与論に行く時は、島で働く側である”島キャン生”という肩書きが無い分、島の内側に入ることは難しくなるでしょう。ちょっと島に知り合いがいる程度のただの観光客になってしまっても、それでも私は与論が、与論で出会えた人たちが大好きです。来年の夏は絶対に帰って来ますとみんなと約束しましたし、本当の意味で「お帰りなさい」と言ってもらえるくらいこれから溶け込んでいけたらいいと思います。

 これからも私はずっとずっと、与論が大好きです。

第1タームのみんな。合ってないようで合ってる6人だったと思います。みんなと一緒で本当に良かった!
百合が浜の写真です。無加工です!この青さ…もう一度言います、無加工です!
写真じゃ伝わらないけどこのカメ、与論に来るカメの中で一番大きいらしいです。運がよければ会えるかも…!