島キャン実施レポート

たくさんの初めてを経験して

2019年夏 新上五島町
くらしの学校「えん」
8/1~8/14
防衛医科大学校/医学教育部  ばばちゃん
島に来たからできたこと
働くが生活の一部
朝日を浴びながらの薪拾い。時には水切り大会になることも…笑

 「えん」での一週間のしまキャンプ。今年で19年目。ゴリリン(くらしの学校「えん」の代表:小野敬さん)が19年前にいろんな人たちの助けを得ながら始めた。きっかけは、山での子供キャンプにスタッフとして参加したこと。そこで子供とキャンプすることの楽しみに目覚めたという。しまキャンプは、毎年、夏と春、時々秋におこなっている。小野家にとってしまキャンプは一大イベント。何日も前から準備したり、参加者が決まってからは親御さんやお子さんと連絡を取ったりする。正直言うと夏のキャンプは赤字らしい。しかし、19年も続けて来た。しまキャンプの主役は子供たち。自分でできることは自分でする。火をマッチでつけて、釜でご飯を炊いて、洗濯板で洗濯をする。昼間は足のつかないような海に飛び込んで、魚や貝を採って、夜は自炊して、ご飯を食べて、テントで寝る。都会では味わうことのできない原始的な生活。それを求めて子供たちが集まってくる。自然の中でやりたいことをやる。危ないからやってはダメと大人が初めから決めつけるのではなく、やれるところまではやらせる。本当に危ないときだけ注意する。やってはいけないこと、危ないラインをこどもたち自身で気づいてもらう。見極めを学ぶために必要なこと。ゴリリンは子供が全力で遊べる環境をつくり、ゴリリンも全力で遊び、子供が成長できる環境を作っている。そのために子供を親御さんから預かっている。

 ゴリリンの本業は「塩屋」さん。海水を汲んできて、風で水分を飛ばし濃縮させ、かまどで水分を飛ばしさらに濃縮させ、遠心分離機で「にがり」と「塩」に分けて、天日で干して、不純物を取り除く。24時間火を焚き続けている。もちろんキャンプ中も。暮らしの中に仕事があって生活の一部となっている。さらに、小野家ではしま留学も行っている。島外からお子さんを一年間預かって、生活を共にする。しま留学に来る子供は、親に連れてこられたからとか行きなさいと言われたから来るのではない。自分の意志で参加している。子どもの中には、小野家に見学に来た時、今まで見たことのないほど大きな蜘蛛を見て目をキラキラさせる子もいるという。小野家にとって、しま留学は生活の一部である。

人とのつながり
若松の花火大会

 船で着いた初日、港近くを歩いていると地元の方に「こんにちはー」とあいさつをされたり、山道を歩いているとおじちゃんに「どこまで行くのー?」「遠いから近くまで乗せてあげるよ」と声をかけられて車に乗せてくれたりと、「知らない人の車には乗らない」「知らない人から声をかけられたら注意する」そんな教えを受けてきた私にとって、見ず知らずの人からの優しさは新鮮だった。さらに、車に乗せてくれたおじちゃんは、漁師であり猟師でもあり、小野さん(くらしの学校「えん」の代表:小野敬さん)とも知り合いだった。島のほとんどの人は知り合いだという。車の中で島についていろんなことを聞き、島で一番おいしいちゃんぽん屋さんでお昼ご飯を一緒に食べ、蛤浜まで送ってもらった。見ず知らずの私にいろんなことを教えてくれて、いろんなところに連れていってくれて感謝の気持ちでいっぱいだった。

小野家に郵便屋さんが来るときはガラッと玄関のドアを開けて、「配達に来ましたー」と言って郵便物を玄関に置いて去っていく。住人と顔を合わせることなく去っていく姿は、まさに島ならではの光景だと感じた。島滞在の中日には、島内で一番か二番目に有名な若松の花火大会に行った。島に来て初めてといってもいいくらいの大勢の人と生まれて初めて目の前であんなに大きな花火を見た。最初の花火が上がるときは会場にいるみんなでカウントダウンをしたり、花火が上がるのを待っている間には子供の「○○先生!!写真撮ろー。」という声が聞こえたりと、まさに人と人とのつながりを感じることができた瞬間だった。そして、島滞在の最終日には地域のペーロン大会に参加した。何年か前に一度はなくなってしまったペーロン大会を地元の力で今年復活させたという。初めてのペーロン。二隻しかない船を人力でこぎ、もう一隻の船と勝負する。勝ち負けがあるようでなくて、皆の笑顔が輝いていた。私も地元の方々に交じって、何回もこいだ。海水がかかって、海に入ったわけでもないのに上から下までびっちょびちょになった。大会が終わった後、地元の子供たちは当たり前のように海へ飛び込んでいて楽しそうだった。

あらしの夜に
皆、体育館で思い思いの時間を過ごしている

しまキャンプ4日目の夜、台風接近のため近くの廃校の体育館へ避難した。今までとは違う空間に子供たちのテンションはMAX状態に。体育館にあるボールだったりフラフープだったりをどこからか持ってきて遊んだ。いつの間にかドッチボールの試合が始まり、ゴリリンもスタッフも参加して白熱した試合が繰り広げられた。ほとんどの子供が参加して、団結した。次の日の朝、体育館の入り口にマムシが現れた。子供が見つけて、島キャン生の一人が退治したという。私が起きた時にはすでに退治済みで頭が引っこ抜かれていた。初めてマムシを触った。こんな経験、ここでしかできないと思う。この日も昼間は体育館で台風が過ぎていくのを待った。卓球をしたり、ドッチボールをしたり、かくれんぼをしたりみんな思い思いの時間を過ごしていた。スタッフの一人がトランペットをもってきていて、何人かで吹き方を教えてもらったりもした。その後、お昼ご飯を食べ、体育館を雑巾がけしてから、近くのホテルで温泉を借り、「えん」に帰ることに。しかし、台風の影響もあってか温泉は開かれず・・・。子供たちも相当ショックを受けていて、ホテルに対する子供たちの思いは強烈だった!!!

大盛り上がりのドッチボール大会 大人も子供も真剣勝負
雑巾がけ競争 雑巾によって滑りやすさが変わるため、どの雑巾を選ぶかが勝負の決め手となる
一週間生活を共にした仲間への感謝の思いを色紙へこめている