島キャン実施レポート

かけがえのない、喜界島での2週間

2017年夏 喜界島
南村製糖
2017年8月30日~9月12日
産業能率大学/経営学部  照井 春朝
20歳の夏、島での体験から自分の将来を考える
将来について、自分の気持ちと向き合えた
10時の休憩。コーラを飲む南村さん。

 あの広々とした青空や、わずかに香る潮のにおい、頬をかすめるそよ風とゴマを刈ったときのベタつき感。ふと目をつぶれば、喜界島の畑でのことを今でも鮮明に思い出すことができます。それだけ長いこと、私は丘の上の畑でゴマを刈っていたのです。
 中学生のときに農家になりたいと思うようになり、農業の勉強もできる高校へ進学した私は、販売や流通についての知識を深めたく思い、大学ではマーケティングを中心に学んでいます。ただ、分野が異なるために農業との関わりが少なくなった最近では、入学前にあった「もっと農業を発展させるため、もっと社会の動きを学びたい」という思いも冷めはじめ、「農業にこだわる必要があるのだろうか」と、自身の将来について自問自答することも多くなっていました。しかし、今回の島キャンで2年ぶりに畑作業を行い、農業が大好きであると再確認することができました。毎日農作業できることが本当に嬉しかったし、楽しかったのです。
 この気持ちを自覚できたことで将来への不安はなくなり、あとは前進するのみとなりました。もし、また農業への思いが薄くなってしまいそうになったら、喜界島での生活を思い出し、勉学に励みたいと思います。

挨拶で感じる地域のあたたかさ

 7月1日、新宿で島キャンキックオフミーティングが開かれました。このミーティングに参加した私は正直、「たった2週間で、島キャンOB・OGのように島を好きになれるのだろうか」と、不安でいっぱいでした。
 結論から言うと、もうすでに喜界島が好きだと胸を張って家族や友人に語っています。特に私は、お借りしていたお家から、就業先までの自転車で約30分かかる通学路がお気に入りです。まずは島に馴染むことを目標としていたこともあり、通学や帰宅時には見ず知らずのおじいちゃんやおばあちゃん、子供、お母さん、牛小屋にいる牛や犬に毎日挨拶をするようにしました。もちろん、初めは一度も話したことのない人に挨拶することに抵抗があり、人が遠くに見えるたびにドキドキしていました。けれど、うれしいことに、みなさんあいさつを返してくれるのです。そのこともあって、あっという間に島に馴染むことができました。
 あいさつが返ってくる。ただそれだけのことですが、なんだか私も住民として受け入れてくれているような雰囲気がそこにはありました。近所の人との関係が希薄化している現代で、地域に残るこういった温かみは、いつまでも残っていてほしいと強く思います。

島の人との交流

 私はインターン期間中、就業4日目にして就業先で知り合った板倉さんという方のお宅にお泊りさせて頂きました。しかも驚くことに、お会いして2日目に「うち泊まりに来る?」と、お誘い頂いたのです。
 その日は夕方にお迎えにいらっしゃるということでしたので、午前中は近所を散歩していました。その際、初めて見る蝶を発見し写真に収めたのですが、お家に御じゃましてお話をしていると、ひょっとしたことからその蝶の話題になりました。「えー!何だろね!知り合いに蝶に詳しい人がいるから行ってみよ!」と、その好奇心で急遽お友達のお宅に行き蝶の標本を見せてもらい、そのついでに、貝を収集している親戚の方のお宅に急遽行ってお茶をするという、その行動力にはとても驚かされました。
 板倉さんの尊敬すべきところは、好奇心旺盛なところだけではありません。次々と出てくるおいしいお料理に、どこを見てもきれいに片されたお部屋、趣味であるガーデニングの紹介などなど、会って2日目の人にするとは思えないおもてなしが、本当にどれも素敵なものでした。そのため、この出来事により「人をもてなし、喜ばせられる人になりたい」という、人生の新たな目標ができました。