島キャン実施レポート

「楽しかった」で終わらない!見落としていた大切なこと

2017年夏 新上五島町
上五島サーフクラブ
2017年8月16日~8月29日
埼玉大学経済学部  しょうじ
「また来たい」と思われるような観光地づくり。人と人との交流の大切さを改めて気づかされました。
一番大切なことは、自分が楽しむこと
ツアーでお客様と、学童で子どもたちと

 仕事のゴールはお客様に「楽しかった、また来たい」と思っていただくことです。研修先の永井さんは、ツアー開始前からお客様に話しかけ、会話の中に自分との共通点を見つけ、会話をどんどん膨らませていくことで、私たちとお客様の間にある見えない壁を壊し、緊張感を解き、リラックスした状態でツアーに参加してもらうということに毎回務めていました。そして、海に着くと、「今日の海も綺麗や」と心の底から感動して言います。永井さんは、「これが仕事と思ってしまったら終わり」と言っていました。お客様の安全には配慮しつつも、お客様と一緒に海でのひとときを楽しむのです。「こちらが仕事と思いながらお客様と険しい顔で接していたら、お客様も心から楽しむことはできない。」という言葉はとても響きました。私は自分のことでいっぱいいっぱいで、初日に初めて見た海の感動をすっかり忘れていました。「自分が楽しむ」ということは一番簡単そうに見えて、一番難しいことでした。

島の人と、島外の人との認識のギャップ
水平線に沈む夕日と、エメラルドグリーンの海

 上五島の海は、沖縄の海にも負けないほどエメラルドグリーンで、透き通っていてとても綺麗でした。私も海の見えるところに住んでいましたが、比べ物にならないほどで、とても感動しました。しかし、島の人にとっては、この綺麗な海が当たり前で、価値があるとは思っていないのです。上五島ではマリンスポーツも盛んでなければ、海が見えるカフェやレストランが一軒もありません。永井さんはそれをしきりに嘆いていました。上五島は来年の世界遺産登録を目指している教会があり、近年観光業に力を入れています。教会を目当てに島に来た観光客も、上五島の綺麗な海を見たら、必ず感動すると思います。しかし、そんな海を存分に楽しめるスポットが上五島には圧倒的に不足しています。
 実は、永井さんは二十数年前に移住してきた島外から来た人の1人です。地元の人が自分たちの島の魅力に気づいてもらうことが一番ですが、永井さんのような観光客に近い気持ちを持つ移住者の方々が島の魅力を伝えていくこともとても素敵で大切なことだと思いました。客観的に見なければわからないこともたくさんあります。私たち島キャン生もまた、少しでも力になれていたら幸いです。

観光で大切なのは「繋がり」
休日に連れて行ってもらった頭ヶ島教会

 役場の三宅さんが「観光で一番大切なのは、もう一度来てもらうこと。そのために必要なのは人と人との繋がり」とおっしゃっていましたが、私はその言葉にとても感銘を受けました。「ただ観光地を巡ってもらうだけでは、観光客はまた島に来ようとは思わない。島の人によくしてもらった、島の人と仲良くなったという体験をしてもらうことで、またその人に会いに来ようと感じてもらうことができる。そのためにはどうすればいいのかというアイデアを出すことが大変なんだ。」と言われ、意見を求められたとき、私は何も言えませんでした。それがとても悔しかったです。私はずっと観光客が満足できるような施設や設備が充足すれば、観光客は増えていくだろうという安直な考えしか持っていませんでした。しかし、三宅さんはその先にあるリピーターを増やすためにはどうすればいいのかということを考えていたのです。浅はかな考えしか持っていなかった自分自身を恥ずかしいと思ったのと同時に、私はなんて贅沢な体験をさせてもらっているのだろうと改めて感じました。