島キャン実施レポート

えらぶの牛と、人と、自然と、文化に出会った2週間

2017年夏 沖永良部島
神里ファーム
2017年8月30日~9月12日
東京大学/法学部  宮下 里彩
この島に絶対にまた来よう、会いに来ようと、私が心に誓った理由
牛と自然に囲まれて、心底楽しかった「はたらく」こと
4984: 毎朝夕は餌やりの時間/4999: セリに出す牛は綺麗に洗います/5077: セリで牛を引きました/5188: 産まれた子牛は「官兵衛」と命名

神里ファームでの就業中、たくさんの貴重な経験に恵まれました。特に大きかったのが、ちょうど私たちの就業期間中に2ヶ月に1回開かれる牛のセリがあり、私たちも牛を引いて参加させていただいたことです。数日前までほとんど牛に触れたこともなかったのに、大事なセリでファームの牛を引いている自分が不思議でもありましたが、面白い仕事ができて本当に有難かったです。セリの前に、出品する牛を洗う作業もしましたが、より近くで直接牛に触れ感じることができ、ファームでの仕事がどんどん好きになっていくきっかけにもなりました。
牛の出産に立ち会えたことも本当に貴重な経験でした。出産が夜だったのであいにく生まれる瞬間は見られなかったのですが、産まれた子牛が立ち上がり最初のお乳を飲むまでを見守りました。子牛の生きるちから、母牛の母性が目の前の2頭から溢れんばかりに伝わってきて、圧倒されるような光景でした。
毎日行う朝夕の餌やりも、餌となる草のロールの運搬も、糞の掃除も、一つ一つの作業全部がとにかく楽しくて、わくわくするような仕事をたくさんさせていただきました。牛と自然に囲まれて、「はたらく」楽しさを知りました。

人のつながりと、あたたかさに出会えた島「えらぶ」
5046: 散歩中に偶然会った小学生たちと川遊び/5003: 神里さんの息子さん/4926: よく遊んだ宿泊先の子どもたち

正直なところ、島キャンに参加する前は、誰一人知っている人がいない離島に飛び込んで2週間も働けるのか不安な部分もありました。島の人と仲良くなれなかったらどうしよう、と思ったり。でも港で神里ファームのお二人に初めて会って以降、島での暮らしを重ねるうちにそんな心配は消えていきました。ファームのお二人をはじめ、出会う人みんな優しくて私に色々な話をしてくださるので、毎日人と出会うのが本当に楽しみでした。宿泊先のご家族や、島の子どもたち、夜ごはんに誘ってくださった島の方々、毎日たくさんの人とコミュニケーションを取れたことは何よりの思い出です。
宿泊先近くの公園で夜開かれた、地域の集まりに参加させていただいたりもしました。みんなが「一汁一菜」を持ち寄って三線や踊りを披露しあいながら、お酒と会話を楽しむ集まりです。三線の演奏や踊りをたくさん楽しませてもらえたうえ、地域のつながりを肌で感じることができた夢のような夜でした。
今回の島キャンで、私自身も島に少しだけ「つながり」を作ることができました。また島に行った時には、今回出会った人と再会し、そしてまた新しい出会いを得ることを今から楽しみにしています。

酔庵塾と、「さすていなぶるあいらんど」沖永良部
5200: シンポジウムの様子/5202: 島の教育を考えるワークショップ/5285: 酔庵塾パネルで記念撮影

今回私たちは、神里ファームでの就業中、牛舎での仕事の他にもう一つ関わらせていただいたことがありました。それが酔庵塾という団体が主催する沖永良部シンポジウムです。神里ファームのお二人が酔庵塾のメンバーであることから、私たち島キャン生も手伝いに参加しました。仕事は、受付や物販に入ったり事前準備や片付けを手伝ったりすることでしたが、シンポジウムやその前夜祭、交流会にも参加させていただいて本当に実り多い時間になりました。石田秀輝先生率いる酔庵塾は、持続可能な社会づくりを沖永良部島から作り発信していくことを目指し活動している団体で、毎年シンポジウムを開催しています。多くの島外の人や団体も理念に共感していて、今年のシンポジウムや交流会にも本当に様々な方々が参加していました。私もその場で島内島外問わずたくさんの人と話して新たなつながりを作り、中には島キャン後も連絡を取って東京で会っている方もいるほどです。シンポジウムでの経験は、自分がえらぶのことをもっと知りたいと思うきっかけになっただけでなく、今回自分が島キャン生として島にもらったものを何らかの形で返せるようになりたいとも思うようになりました。