島キャン実施レポート

自然と人の優しさに満ちた、沖永良部での2週間

2017年夏 沖永良部島
山下ファーム
2017年8月2日~8月15日
京都大学総合人間学部  伊藤 香奈
島キャン参加まで全く知らなかった沖永良部島が、もう一度帰りたい大好きな島に
夏の農業は大変!!!!!
主にグラジオラスの球根拾い・整理、畑の石拾いなどをしていました。

就職する前に、自然にどっぷりつかってみたい、農業というものを体験しておきたいという思いから島キャンに参加しました。夏の農業って暑そうだな、大変そうだなと思ってはいましたが、実際はそれ以上でした。沖永良部島の日差しは強く、畑は日差しを遮るものもないため朝でも外で1時間いると倒れてしまいそうな暑さです。島にいる間に台風が近づいたのですが、島の人たちにとって、軽度の台風は日差しをやわらげて雨をもたらし、人間にも畑にもいいものという考え方をしていました。過去に連続で大きな台風が来たときは農作物の出来高が大きく下がり、大変だったそうです。農業は天候によってその日にできる作業が変わったり、作物の出来が変わったりして、まさに自然とどう共生するかが大事なことだと知りました。また、島に行くまで「自然」と「農業」は同義のものと考えていましたが、実は相反するものであることを知りました。「なにもしなければ森に戻るものを、手を加えて畑にしている」という言葉を聞いて、都会にいるときに農業は一番自然に近いものだと思っていたのは、サービス業や製造業と比較していただけで、農業そのものを全然みていなかったんだということに気づきました。

島内の世間の狭さにびっくり!
島の高校生に受験体験談を話したり、お祭りに参加したり…島の方といろいろ交流させてもらいました。

沖永良部島で2週間、いろんな人と関わって思ったことは「世間せまっ!」ということです。宿に泊まりに来ている人の親戚の方がわたしの事業所の方の知り合いだったり、お話を聞きに行った農家さんが、事業所の方のまた従兄妹だったり…笑。親戚や同級生伝いで、島のすべての人と知り合いになれるのではないかと思ってしまうほどです。宿のおばちゃんは、「えらぶでは3人集まったら他人の悪口を言ったらだめなの、絶対誰かの身内だから笑」と言っていました。お祭りに行ってもいろんなところで、知り合い同士が声をかけあったりしていて、島の皆さんのつながりの強さを感じました。とはいえ、島内の人しか受け入れない、などという閉鎖的な感じは全くしなくて、島外から来た人にも優しくて、たくさん声をかけてくださります。島キャンを快く受け入れてくださるのはもちろん、島の人手不足もあって、移住者を呼び込みたいという思いも島のみなさんは強くもっているそうです。最近では、えらぶ2世・3世の若者が島に帰ってくることも多いようです。島ならではのつながりと、外部の人を迎え入れる優しさで、えらぶがもっと元気な街になるといいなと思いました。

自然を感じるということ
毎日すこしずつ違う自然を楽しむのは2週間滞在するからこそできる楽しみ

いつもの日々の生活では、「鳥がいる」「蝶がいる」「虫がいる」としか感じなかったわたしが、鳥やトンボの種類に注目するようになったり、名前を覚えるようになったり。日によって違う風や空、海の表情を感じるようになったり。都会の生活では忙しくてかまってられない小さなことに、意識を向けられるようになって、小さなことに幸せを感じることができた2週間でした。そんな自然いっぱいの島だけれど、実は島の人たちはそのよさに気づいていないこともあって。「えらぶはどう?」と聞かれて「星空と海がとてもきれいです!」と答えると、「星なんてずっと見ていないな~」とか「おばちゃん海で泳いだことない」と返ってきたりします。あ~なんてもったいない!沖永良部島がどこかも知らなかった私が、2週間で自然がいっぱいで、みんながあったかい、この島のこと大好きになりました。そんな魅力がいっぱいある島です。島の人が気づいていないこの島のよさを、周りにどんどん発信していくのが、お世話になった沖永良部にできることかなと思います。