島キャン実施レポート

東京にいたら見えてこないもの。

2018年夏 奄美大島
島キャン予備校
8/15~8/28
立教大学経済学部  遠藤美桜
改めて自分と向き合うことができた2週間でした
自分の「当たり前」は当たり前じゃない

私は「島キャン予備校」という奄美大島唯一の大学受験の予備校に2週間就業していました。
まさかの校舎のエアコンが壊れて空調が効かないという非常事態が発生していましたが(笑)。
予備校のチューターとして生徒の学習の相談に乗ったり、自分の勉強方法をまとめて発信していました。

タイトルにある、自分の「当たり前」は当たり前じゃないというのは、生徒と私たち大学生の「認識の差」を意味しています。島に来る前の自分は、「勉強かぁ〜どんなスケジュールでやってたっけ」と学習方法について生徒と相談できればいいなと思っていました。
でも現実は、夏休みの期間に毎日来ている生徒は数人しかいないということ。

生徒の大学進学への意欲を上げてあげることが、自分たちの課題なのだと島に来て初めて認識しました。私たちは、周りの人はみんな大学に通っていて、「とりあえず大学受験しよっか」っていう流れが普通でした。

島キャン期間の後半に、大島高校の高校生と、島キャンで来た大学生が交流するイベントがあり、島の高校生は大学や大学生に関する情報にとても飢えているんだなと実感しました。奄美大島には大学がありません。だからこそ大学に行く意味だったり、大学生活を具体的にイメージすることができない。当初は予想もしなかったことが課題になりました。

「どうしたら島の高校生に、大学に対して前向きなイメージを持ってもらえるか?」この問題について一緒に就業していた池垣さんと議論をして、島キャン期間最終日に高校生を集めて「自分たちはなぜ大学に行ったのか」「大学ではどの様な活動をしてきたのか」といったことを発表し、島の高校生に大学生について知ってもらうイベントを開催しました。

当日は急遽次の日から加計呂麻島に就業する島キャン生を交えてイベントを開催することができました。正直、参加人数も少なかったし、あまり会ったことのない生徒さんもいたので成功するか不安でしたが、イベント終了後も残って熱心に大学生に授業のことや、学生生活について質問している生徒の姿を見て、イベントをやってよかったなと思うことができました。

私たちが滞在していたのはたった2週間で、その期間に会えた生徒は10人に満たないと思います。でも2週間経って壁を感じずに話せるようになったり、毎日予備校に来て熱心に勉強している姿を見て、たった2週間でも何かしら生徒たちにとってプラスになったんだなと、誰かに対して真摯に向き合う姿勢や、相手の立場に立って物事を考えるという学びを得ることができました。

奄美にいて感じたこと

今回、自分が奄美大島にきた理由は2つあります。1つ目は自分が普段行かないような土地に行きたかったからと、2つ目は島の高校生と交流したいという思いがありました。

実際足を運んでみて、すぐに気候が変わったり、照りつける太陽でだいぶ日焼けをしてしまいましたが、何かに急かされることのない「島時間」をゆっくりと味わうことができました。

私は実家暮らしなので、2週間も家を開けることはおそらく人生初でしたし、始めの1週間が経って少しホームシックになったりもしました(笑)。自分が東京で感じていた漠然とした「焦り」は島では感じることがなく、すごく自然体でのびのび過ごせたような気がします。

東京に帰ってきて、もちろん「奄美大島に帰りたいなあ〜」と思うことはありますが、それよりも「自然が見たいなー、海が見たいなー」と思うことが増えました。いつもの自分であればそんなことは全く感じなかったのに、そんな風に自然や、のびのびすることを楽しいと思える自分になったことが、驚きです。

また、就業中はテレビやラジオに出演させていただく機会があって、東京では絶対に体験できないようなことが、言ったらすぐに実現できたりすることもローカルな島の良さだなーと感じました。個人的にはラジオ局が駄菓子屋さんと一緒になっているのがすごく好きです。

誰かに頼ることは悪いことじゃない

私が島に来て、学んだことの1つに「人に頼ることは悪いことじゃない」というものがあります。


今でもこの癖は直っていませんが、人に頼ることが嫌いで、なんでも自分自身でやってしまう癖があります。東京では自分が責任を持たなければいけないことで、できないことはないと思っていたけれど、奄美大島での暮らしを体験して、自分には車もなければ免許もない。。。自分が行ってみたいところはいつも就業先で働く人や、同じタームで島に来た人に頼りっきりで…。でも他のことで自分が頼っている人の役に立てることはないかなとか、自分が頼る代わりに相手が自分にしてほしいことをしてみたり、当たり前ではあるんですけど、そういうことについて考える機会が多かった気がします。とは言っても実際自分がやれたことなんて全然なくて、島の人に助けてもらうことばかりでした。

いつか自分が社会人として成長して、島の人にプラスになることをさせていただければいいなと思っています。本当に島でお世話になった人には感謝しています。ありがとうございました。

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