島キャン実施レポート

サンゴでできた小さな島で学べたこと

2018年夏 与論島
ヨロンSC
8/3~8/14
日本体育大学/体育学部  泉夢乃
約二週間の就業体験を通して
「島で働く」
B&G艇庫の監視台から見えるBG塾の様子。別の就業先の島キャン生が撮影してくれました。

「将来子供の教育に携わる仕事がしたい」ふわっとそんな風に考えていた私が選んだ就業先は、奄美群島のひとつであり、鹿児島県最南端の島である与論島にあるスポーツクラブ、NPO法人ヨロンSCであった。

…とは言ってもスポーツクラブ…。受付でお客さんと話をしたり、事務仕事をしたり、プールを監視したり…、何となくそんな仕事しか思いつかなくて、出発前は正直「こういう仕事内容だったら東京でもできるよなあ…」と思っていた。

就業初日。ヨロンSCの施設であるB&G艇庫(以下艇庫と表記。訪れたお客さんがマリンスポーツを楽しめるアイギ浜にある施設)での仕事を任された。私はここで早速出発前のイメージを覆されることになった。艇庫では、訪れたお客さんを接客し、浜を監視することだけでなく、時にはお客さんと一緒にSUPやカヌーを楽しむ。もちろんただ遊ぶだけではない。SUPやカヌーをしながらも海上に危険がないか注意を払い、安全第一に考えながらではあったが、仕事中に様々な地域から訪れたお客さんからいろいろな話を聞くことができた。

決められた仕事をするだけではないスポーツクラブ、ヨロンSC。これはなかなか東京に住んでいてはできない仕事だと感じた。

また、就業期間中に艇庫でおこなわれたヨロンSC主催のイベント「BG塾」。これもなかなか体を張った仕事(笑)で、与論島に住む小学生15人と夏休みの5日間、宿題に取り組んだり、実際に浜に出て海浜学習をするというものだった。どの辺が体を張っているかというと、全部子どもたちと一緒に取り組むという点だ。夏休みの宿題で、分からないところがある児童と一緒に問題に取り組んだり、どうしても落ち着いて座っていられない児童に寄り添い、一緒に課題に取り組む。海の安全教室はもちろん一緒に海に入水し、指導をおこなう。手作りピザ作りは一からピザを一緒に作る。常に参加児童と行動を共にし、とにかく大変だった。(笑)

ただ、私は約2週間の就業体験の中で、BG塾での仕事が1番「島で働く」と言うことを体感したと感じている。綺麗な海に囲まれながら学んだ5日間は子どもたちに教えるだけでなくて、私自身、こども達から学ぶことが多かった。何より島の子供たちは見たものすべてを吸収し、自分のモノにする力がとても強いと感じた。本当に貴重な体験だった。

底知れないコミュニティ
島の居酒屋さんに並べられている名産黒糖焼酎「有泉」。

与論島と言えば「与論献奉」。与論献奉とは、与論に伝わる客人を迎える際の伝統儀式であり(気になった方は調べてみてください)、伝統柄(?)毎晩のように飲み会が開かれていた。私は毎回参加していたわけではなかったが、参加する際は気合を入れて参加していた…。お酒は好きだがあまり強くない私は、その旨を伝えておくと島の方は手加減してくれた。非常にありがたい…。

しかし今回ここで私が伝えたかったのは与論献奉のことではない。飲み会に行く度に「島ならではだなあ」と感じたことがあった。それは、大体どこへ飲みに行っても顔見知りがいるということ。就業先の方、泊まっている宿の隣の隣の家のおじちゃん、あそこのコンビニの店員さん…。島キャン生が居酒屋でお酒を飲んでいると「おっ、島キャンか!どこで働いているんだ?」と気さくに話しかけてくださる方も多く、「ヨロンSCです」と言うと「◯◯さんのところか〜!」の流れになり、大抵そのまま与論献奉。これは小さな島ならではの広いコミュニティがあるからこそできることだと感じた。

結論、与論に来ることができて良かった
ヨロンSCの皆様。

約2週間の島キャン、もちろん楽しいことばかりではなかった。だけどそれが「働くことのリアル」なのだろうな、と再確認させられた。また、この就業体験は私の価値観を大きく変えるものとなった。「まだ2年生だし」そんな考えは与論島に忘れてきた。自分の将来についてきちんと考えていかなければいけない。大学生活は無限じゃないから。

ここまで私なりに島キャンで感じたことをレポートに書き記してきたが、結論、「与論に来ることができて良かった」。これに尽きる。東京にないものがここにはあるし、東京にあるものがここにはないと思わされた。口で説明するのは少し難しいので是非人生で一度は与論島へ足を運んでみてください。

与論島で第1タームを共に過ごした7人。滞在中流行った「あげみざわポーズ」。個性が強いみんなが大好きだよ、一緒に過ごせてよかった、ありがとう。
島キャン生共通オフの日にみんなで観に行った星空。
さよなら与論島、また帰ってくるね。