島キャン実施レポート

島キャンを終えて

2018年夏 新上五島町
くらしの学校 「えん」
7/31〜8/14
大阪経済大学/経済学部  神田佑亮
新上五島での暮らし
働くということ

 働く、というと現代の都会に住む若者は、会社のデスクに向かい、パソコンに文字を打ち、取引先と商談をする、というイメージが強いかと思います。今回、島キャンに参加したことで私の中のその固定観念が見事に打ち砕かれました。

 生きるために働く、とはまさにこのことだと感じたのです。私の就業先の、くらしの学校「えん」さんでは、味噌や塩、醤油などの調味料は自身で作り、その塩をお米と交換したり、野菜を近所の方から分けてもらったりと、自給自足の生活が繰り広げられていました。都会の人達が「働くために生きている」と言われても不思議でないくらい、ここの人達にとって「働く」というのは自然で楽しむことだったのです。

私が今、アルバイトなどで働いていると言うのは、本当にお金を稼ぐための手段でしかなく、そこが上五島の人と異なっている点でした。

新上五島町の現状

 今回の島キャンで、私は上五島(新上五島町)が現状の過疎化問題・少子化問題に対し、十分に向き合っていると感じました。しかしこう言ってはなんですが、それを実行しているにも関わらず、私にはこの先、この島に人が増えることはないだろうと感じてしまいます。世界遺産に登録された場所があるというのは、一時の話題性としてはとても素晴らしいものです。定住者は増えることはないですが、観光客は増えるでしょう。しかし、やはりその現状に対し、不満を漏らす方も少なくありません。自然豊かで綺麗だったはずの島の景観が、外から来る観光客によって汚されることを危惧している島民の方も多くいるのです。

 また、偶然にも今年初めて開かれたフェスに参加する機会がありました。若い女性2人によって開かれたこのフェスは、地域のいろいろな店が出店を構える夏祭りのようなものでした。客数は初めてでこれならば素晴らしい、と言う感じの人数でした。

 ですが、このままでは定住者は増えません。集客数はイベント内容でいくらでも変わりますが、結局のところ、島外にアピールができなければ変わらないのです。身内の中で楽しむのならば、このままでは良いでしょうが、島の良さを知ってもらうためのフェスがそのままでいいのでしょうか?  もちろん初回のフェスを見て、ここまで考えるのはあまりにも不躾です。そればっかりは、私が偉そうに言える立場ではありませんが、地域創生を学ぶ者として感じた点ではありました。

この島キャンを終えて

初めて行った島で、初めて会う子供達とキャンプをする。子供が苦手な私が、なぜ「えん」さんのような就業先に来たのかという感じではありますが、とてもいい経験になりました。

やはり、というか予想していた通り、子供の相手はとても疲れます。なぜなら彼らは、「言葉」をそのままストレートに受け止める純粋さがあるからです。そのため、子供たちと接する際に最も気をつけた点は言葉遣いでした。とある一言が原因でやる気を失ってしまうかもしれない、冗談を言っても通じずに困るかもしれない。同世代と話すときと同じような話し方では、彼らに何一つ伝わらないのです。

この子たちにどう伝えれば動いてくれるだろう?何を提案すれば考えてやってくれるだろう?頭の中は常にそのことでいっぱいでした。

勿論、途中何度も嫌になることもありました。自分ではなく、あくまでも主役は子供達。私たちは縁の下の力持ちでなくてはいけません。大きく活躍してはいけないのです。そのもどかしさもあり、途中何度か辞めたいと感じたこともありました。ですが彼らは、そんな私の気持ちに関係なく、物事を進めていきます。周りではなく自分がやらなければいけない、と少しずつわかり始めたからだと思います。自主性を養うために、大人が我慢するのは当たり前であり、そうしなければ子供が成長することはありません。私は保育士や先生希望ではありませんが、このキャンプで人と接する新しい方法を覚えることができました。

これがとても大きな結果だと感じています。

世界遺産の頭ヶ島天主堂。
子供達と作ったハーバリウム。シーグラスや花びらを使ってます。
五島と言ったらやっぱりうどん!閉店時間だったけど開けてくれました!